企業型確定拠出年金(サンプル)

税制優遇を受けられます。

企業型DCには、3つの税制優遇措置があります。

1つ目は、企業型DCの運用で得た利益は全額非課税となることです。
一般的な金融商品で運用するとその運用益に対しては約20%の税金がかかります。それが全額非課税となるわけです。

2つ目は、積み立ててきた年金資産は60歳以降、「一時金」か「年金」の形式で受け取ることになりますが、どちらの形式でも税制優遇が受けられます。
一時金であれば「退職所得控除」、年金であれば「公的年金等控除」が受けられ、税を軽減することができます。

3つ目は、マッチング拠出を利用した場合、従業員が拠出する分の掛金については、全額所得控除の対象となり、所得税・住民税が軽減されます。

【99%の社長が知らない!】

賢い退職金の準備:全額損金で活用できる企業型確定拠出年金とは?

少子高齢化が加速するなか、賦課方式の公的年金は制度の限界が懸念されています。

また、企業年金のあり方も見直されています。そこで注目が高まっているのが、従業員の資産形成に

役立つ企業型確定拠出年金(企業型DC)です。

今回は、企業型確定拠出年金の制度概要とメリットとデメリットをわかりやすく解説します。

目次

1.確定拠出年金制度の位置づけ

2.中小企業における退職給付制度の現状

3.つみたてNISAとiDeCoとの比較

4.企業型確定拠出年金のメリット  

●役員退職金を全額損金で積立可能   

●社会保険料・所得税・住民税が減額  

5.制度導入時に気を付けるべき事(デメリット)  

●満期(60歳)まで引き出せない  

6.なぜ99%の社長が知らないのか

1.確定拠出年金制度の位置づけ

確定拠出年金制度は、企業が主体となって行う「企業型確定拠出年金(企業型DC)」と、個人が自分で申込をする「個人型確定拠出年金(個人型DC)」の2種類にわかれています。
個人型DCは、2017年1月から公務員などにも加入対象者が拡がることを受けて、制度が広まっていくようにと愛称が公募され、2016年に「iDeCo(イデコ)」という愛称に決定しました。

     

国民全員が加入する「国民年金保険」と会社員などの第2号被保険者が加入する「厚生年金保険」は、国が管理している「公的年金」です。
制度としての確定拠出年金は、公的年金の一段上に乗っているイメージで、中でも企業が管理している企業型DCは「企業年金制度の一つ」と言われています。
企業型DCと比較すると、iDeCoは完全なる自助努力の制度ですので、申込をする金融機関を選ぶところから事務費用の負担まですべて自分で行うことになります。

2.中小企業における退職給付制度の現状

現在、中小企業における退職給付制度の実施状況の割合は年々減少しており、実施企業は6割程度と

なっております。

また、従業員の退職金制度としては「中退共」が有名ですが、役員は加入する事ができません。

さらに、従来の損金性のある保険を活用した積立も法改正によりメリットが薄くなり、

以前に比べ役員退職金が準備しづらい状況となっています。

しかし、損金性のある役員退職金が準備できる制度が無くなったわけではありません。

退職金給付制度のある大企業の実に7割近くが採用している、

企業型確定拠出年金(企業型DC)であれば全額経費計上できるだけではなく、

社会保険料の削減効果や運用メリットもあり、より効果的な役員退職金準備が可能です。

3.つみたてNISAとiDeCoとの比較

4.企業型確定拠出年金のメリット

●役員退職金を全額損金で積立可能

企業型DCの掛金は全額損金算入することが可能です。

また通常、退職金は融資などを受けることができないため、内部留保からお金を出すことになります。

退職金を手取りで5000万円準備するとき、内部留保から出す場合と、企業型DCを利用した場合を

比較してみます。

・内部留保から5000万円を用意する

内部留保から5000万を準備する場合、法人税など税金の合計33%と仮定して逆算すると、およそ7500万円の税引き前利益が必要となります。7500万円の原資から33%の税金およそ2470万円が差し引かれて、最終的に約5000万円が残る計算です。

・企業型DCから5000万円を用意する

企業型DCで拠出できる限度額は、毎月55000円です。これを25年間積み立てたとすると、拠出金だけで1650万円になります。企業型DCは掛金を投資信託などで運用できます。1650万をS&P500を指標としている投資信託で運用したとします(平均利回りは約8%)。例えば、毎月55000円を積み立て、25年間の平均利回りが8%だった場合では、最終的な資産はおよそ5000万円にふくらみます。

・内部留保と企業型DCの比較

●社会保険料・所得税・住民税が減額  

まずは、社員の視点で見てみましょう。

東京都に住む月々の給料が30万円のAさんがいたとします。通常、30万円の給料から社会保険料、所得税、住民税が差し引かれると、残るお金は約23.6万円です。このうち、仮に2万円を貯金に回すと、生活費は約21.6万円になります。

それでは、Aさんが企業型DCに加入した場合を見てみましょう。企業型DCは給料から天引きして積み立てられます。2万円を企業型DCに拠出した場合、30万円の給料から2万が引かれ、額面価格は28万円になります。すると、その28万円から社会保険料、所得税、住民税が差し引かれると、手元には約22.1万円が残ります。企業型DCに加入していない場合と比較して、毎月5000円の差になります。同じ給料をもらって同じ額を積み立てているのに、年間6万円も得するわけです。

 

会社が支払う社会保険料も減額される

社会保険料は会社と従業員が半分ずつ負担する労使折半です。従業員1人あたりの社会保険料が減れば、

当然、会社が負担する保険料も減少します。

5.制度導入時に気を付けるべき事(デメリット)

●満期(60歳)まで引き出せない 

企業型DCの最大のデメリットは、満期まで現金化することができない点にあります。

一度、DCをスタートすると、少なくとも最低拠出金額の3000円を満期まで積み立て続ける必要があります。

6.なぜ99%の社長が知らないのか

2021年時点での、企業型確定拠出年金導入企業数は約38,000社にのぼりますが、そのほとんどは大企業です。

厚生年金適用事業所数(約255万社)から計算すると実に1.5%程度となり、その大半が大企業であることを踏まえると、中小企業での導入は1%未満となります。

企業型確定拠出年金について中小企業の経営者にご案内すると、

「なぜこんなにいい制度なのに、中小企業に広まっていないのか?」といったご質問をいただく事も多く、

その理由は以下の2点となります。

  • 提案する側が、従業員数の基準(100名以上の企業)を設けていた

これについては非常にシンプルで、そもそも企業型確定拠出年金の案内をしていた大手金融機関や保険会社が従業員数100名以下の企業に対して採算が合いづらく、ほとんど案内しなかったという事です。

現状もこの流れは変わらず、従業員数の制限を設けているところがほとんどです。

  • 導入する企業の費用対効果が薄いという認識をされていた

企業型確定拠出年金の歴史は古く、2001年の法律施行から20年以上経過しておりますが、長きに渡り社会保険料削減が主たる目的として案内されてきました。従業員数の少ない企業ですと社会保険料削減効果は薄く、あまりメリットがないと判断される事も多く存在しました。これらの事が原因となり、中小企業での導入率が低水準のまま推移しておりましたが現在は急速に拡大している傾向になります。

その理由としては、

①加入者1名からでも比較的安価で導入できるシステムができた事

②社会保険料削減ではなく、役員の退職金準備に効果的な制度だと認識し始められた事

この2点があげられます。

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